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がんは特別な病気ではない 2人に1人の時代に知っておきたいこと

2026.06.15

「自分は健康だから大丈夫」「家族にがんの人はいないから」そう思っている人も少なくないかもしれません。
しかし現在、日本では生涯のうちに2人に1人ががんになるといわれています。がんは決して特別な病気ではなく、誰にとっても身近な病気です。特に40歳を過ぎる頃から、がんになるリスクは徐々に高くなっていきます。だからこそ、「怖い病気」として遠ざけるのではなく、まずは正しく知ることが大切です。正しい知識を持つことが、自分自身や大切な家族を守ることにつながります。

がんは細胞の異常から始まる

私たちの体は約60兆個の細胞でできており、その一つ一つには設計図となる遺伝子があります。がんは、この遺伝子に傷がつくことで起こる病気です。本来、細胞は必要以上に増えないよう調整されています。しかし、何らかの原因でその仕組みが壊れると、異常な細胞が増え続けるようになります。さらに、周囲の組織へ広がったり、血液やリンパの流れに乗って別の臓器へ移ったりすることがあります。これが「転移」です。一方で、私たちの体には異常な細胞を排除する免疫の働きも備わっています。しかし、加齢やさまざまな要因によって、その働きをすり抜けた細胞が増えることで、がんが発生すると考えられています。

「症状がない」がんこそ注意が必要

がんの多くは、初期の段階ではほとんど症状がありません。痛みや違和感が現れてから受診したときには、病気が進行していることもあります。そのため、症状がないうちに見つける「検診」が重要になります。早期に発見できれば、治療の選択肢が広がる、体への負担を抑えた治療が可能になる、日常生活への復帰が早くなる、などのメリットがあります。また、検査によって生活習慣病やピロリ菌感染など、ほかの病気が見つかることもあります。

 

継続して検診を受けることも大切

一度検査で異常がなかったとしても、それで安心というわけではありません。がんの中には短期間で進行するものもあり、定期的に検診を受けることで体の変化に気付きやすくなります。毎年の検査結果を比較することは、自分自身の健康状態を知るうえでも大切です。症状がないからこそ、定期的に検診を受ける習慣が、早期発見につながります。生活習慣の見直しがリスク低下につながるがんは遺伝によって起こるイメージを持つ人もいますが、親から子へ受け継がれる遺伝性のがんは全体の一部で、多くは生活習慣など複数の要因が関係しています。そのため、日頃の生活を見直すことも大切です。

  • 禁煙と節酒

喫煙はさまざまながんのリスクを高めることが知られています。飲酒も適量を心掛けることが大切です。

  • バランスの良い食事

塩分の摂り過ぎを避け、野菜や果物を取り入れた食生活を意識しましょう。

  • 適正体重の維持

肥満は、いくつかのがんの発症リスクと関連していることが分かっています。

  • 適度な運動

運動習慣は、がん予防だけでなく生活習慣病の予防にもつながります。特別な運動を始めなくても、日常生活の中で少し体を動かすことから始めてみることが大切です。

がん治療は進歩を続けている

医療技術の進歩により、がん治療は大きく変化しています。手術や放射線治療、薬物療法など、それぞれの特徴を生かしながら、一人一人の病状に合わせた治療が行われています。また、体への負担をできるだけ少なくする治療法や、副作用を軽減するためのサポートも進歩しています。「がん=治らない病気」というイメージを持つ人もいるかもしれません。しかし、早期発見・早期治療によって治癒を目指せるケースも増えており、治療を続けながら仕事や日常生活を送る人も少なくありません。

 

「標準治療」は現時点で最も推奨される治療

「標準治療」と聞くと、「一般的な治療」という印象を持つ人もいるかもしれません。しかし、標準治療とは、科学的根拠に基づき、有効性と安全性が確認された治療のことを指します。また、治療を選ぶ際には、「仕事を続けたい」

「できるだけ体への負担を少なくしたい」「これまで通りの生活を大切にしたい」など、一人一人の希望も大切になります。医療者と十分に相談しながら、その人に合った治療方針を一緒に考えていくことが重要です。

 

正しく知ることが、未来の安心につながる

がんは誰にでも起こりうる病気です。だからこそ、怖がって遠ざけるのではなく、正しく知り、備えることが大切です。生活習慣を見直すこと。症状がなくても定期的に検診を受けること。そして、不安や疑問があれば一人で抱え込まず、医療者に相談すること。今日からできる小さな積み重ねが、将来の安心につながっていきます。がん医療は日々進歩しており、早期発見によって治療の選択肢も広がっています。大切なのは、「まだ大丈夫」と先送りすることではなく、自分の体に関心を持ち続けることです。

正しく知ることは、自分自身だけでなく、大切な家族を守ることにもつながります。これからも自分らしい毎日を送るために、一度、ご自身の健康について考えてみてはいかがでしょうか。

 

理事長特別顧問
兼 洛和会病院 病院長補佐
寺嶋 宏明(てらじま ひろあき)

■専門領域 
外科、消化器外科、肝胆膵外科

■専門・資格など
日本外科学会外科専門医/指導医
日本消化器外科学会消化器外科専門医/指導医/消化器がん外科治療認定医
日本肝胆膵外科学会高度技能指導医
京都大学医学部臨床教授
一般社団法人 京都大学外科交流センター理事長