ホーム
/ 健康のこと / 夏の熱中症を防ぐには? ──救急医に聞く、家庭でできる予防と応急処置

夏の熱中症を防ぐには? ──救急医に聞く、家庭でできる予防と応急処置

2026.08.03

京都の夏は、気温だけでなく湿度も高く、体に熱がこもりやすい季節です。梅雨明け直後や急に暑くなった日には、体が暑さに慣れておらず、熱中症の危険が高まります。

熱中症は屋外だけでなく、自宅などの室内でも起こります。特に子どもや高齢者は体温調節が難しく、周囲の人が早めに気付くことも大切です。

夏を元気に過ごすために知っておきたい熱中症の仕組み、予防のポイント、もしものときの応急処置について、洛和会音羽病院 救急・集中治療センターの石倉宏恭医師に聞きました。

熱中症はなぜ起こる?

人の体は、暑さを感じると汗をかいたり、皮膚に血液を集めたりして、体の外へ熱を逃がそうとします。汗が蒸発するときに体の熱を奪い、体温を下げる仕組みです。

しかし、気温や湿度が高い環境に長くいたり、体調が悪かったりすると、この体温調節がうまく働かなくなることがあります。その結果、体の中に熱がたまり、体温が上昇して体のバランスが崩れた状態が熱中症です。

 

熱中症は「暑い場所に長時間いたときだけ起こるもの」と思われがちですが、室内でも起こります。風通しが悪い部屋、エアコンを使っていない部屋、湿度が高い場所では、屋内であっても注意が必要です。

梅雨明け直後、急に暑くなった日は要注意

熱中症は、真夏日や猛暑日に増えやすくなります。特に注意したいのが、梅雨の晴れ間や梅雨明け直後など、急に気温が上がる時期です。

体がまだ暑さに慣れていない時期は、汗をかいて体温を下げる機能が十分に働きにくくなります。「まだ夏本番ではないから大丈夫」と思っていても、急な暑さで熱中症になることがあります。

また、寝不足や疲れ、食欲不振、下痢、発熱などで体調が整っていないときも危険性が高まります。暑い日は無理をせず、早めに休憩を取ることが大切です。

子どもと高齢者は特に注意を

熱中症で特に注意が必要なのが、子どもと高齢者です。

子どもは汗腺が未発達で、体温調節がうまくできません。また、大人よりも地面に近い位置で過ごすため、アスファルトの照り返しの影響を受けやすくなります。ベビーカーに乗っている乳幼児は、大人が感じている以上に暑い環境にいることがあります。

夏の車内にも注意が必要です。短時間でも車内の温度は急激に上がります。「少しだけ」「冷房をつけているから」と考えず、子どもを車内に残さないことが基本です。

 

熱中症のサインを見逃さない

熱中症の初期症状として、めまい、立ちくらみ、大量の汗、筋肉痛、こむら返りなどがあります。

症状が進むと、頭痛、吐き気、体のだるさ、集中力の低下などが現れます。さらに重症になると、意識障害、けいれん、高体温、汗が出ない、皮膚が赤く乾くといった危険な状態になることがあります。

特に、呼びかけに反応しない、受け答えがおかしい、自分で水分を取れない、けいれんがある場合は、すぐに救急車を呼ぶ必要があります。

熱中症は、初期の段階で適切に対応できれば重症化を防げる可能性があります。

熱中症かなと思ったら

熱中症が疑われる場合は、まず涼しい場所へ移動します。屋外であれば日陰や冷房の効いた建物へ、室内であればエアコンをつけた部屋へ移動しましょう。

衣服を緩め、体を休ませます。足を少し高くして寝かせると、血液が体の中心に戻りやすくなります。

意識がはっきりしていて、自分で飲める場合は、水分と塩分を補給します。水や麦茶だけでなく、スポーツドリンクや経口補水液などを状況に応じて使います。

体を冷やすときは、首筋、脇の下、太ももの付け根など、太い血管が通っている場所を冷やすと効果的です。濡れタオルを当ててあおぐ、霧吹きで水をかけて風を送るなどの方法もあります。

 

熱中症は予防が大切

熱中症は、起こってから対応するだけでなく、日頃から予防することが大切です。

まず意識したいのは、こまめな水分補給です。汗をかくと、水分だけでなく塩分も失われます。特に作業や運動をするときは、のどが渇く前に水分と塩分を取り、無理をせず休憩を挟みましょう。

また、急に暑くなった日は、体が暑さに慣れていないため注意が必要です。屋外で過ごす時間を少しずつ増やすなど、徐々に体を暑さに慣らしていくことが予防につながります。

体調が悪いときは、いつもなら問題ない暑さでも熱中症になりやすくなります。寝不足や疲れ、食欲不振がある日は、外出や運動を控えめにし、無理をしないことが大切です。

服装は、できるだけ通気性の良いものを選び、直射日光を避けましょう。帽子や日傘を使うほか、高温多湿の環境を避け、室内でもエアコンや扇風機を適切に使うことが必要です。

肥満の方、高齢者、幼児などは、暑さの影響を受けやすい傾向があります。本人が暑さやのどの渇きを感じにくい場合もあるため、家族や周囲の人が室温や体調の変化に気を配ることも、熱中症予防の大切なポイントです。

暑さを我慢しないことが命を守る

熱中症は、真夏の屋外だけでなく、室内や夜間にも起こります。特に京都の夏は湿度が高く、汗が蒸発しにくいため、体に熱がこもりやすい環境です。

大切なのは、暑さを我慢しないことです。

こまめに水分を取る、エアコンを使う、無理な外出や作業を避ける、体調が悪い日は予定を見直す。こうした小さな行動が、熱中症の予防につながります。

家族や身近な人の様子にも気を配りながら、暑い季節を安全に乗り切りましょう。

監修

 洛和会音羽病院 救急集中治療センター 所長
医師
石倉 宏恭

 

こちらの記事もおすすめ