ホーム
/ 健康のこと / 乳がん予防の第一歩 ──検診と生活習慣でできること

乳がん予防の第一歩 ──検診と生活習慣でできること

2026.07.27

乳がんは、日本人女性がかかるがんの中で最も多く、誰にとっても身近な病気です。一方で、早い段階で見つけて適切な治療につなげることができれば、良好な経過が期待できます。

乳がんを完全に防ぐことはできませんが、普段から乳房の変化に気を配ること、定期的に検診を受けること、生活習慣を見直すことは、早期発見や発症リスクの低下につながります。

乳がんから自分の体を守るために知っておきたいことを、洛和会音羽病院 乳腺科の医師に聞きました。

部位別がん罹患率

乳がんは早期発見が大切

乳がんは、乳房にある乳腺に発生する悪性腫瘍です。主な症状には、乳房のしこり、皮膚のくぼみやひきつれ、乳頭からの分泌物、脇の下の腫れなどがあります。
ただし、初期には自覚症状がほとんどないこともあります。そのため、症状がなくても定期的に乳がん検診を受けることが大切です。
乳がんは、早い段階で見つかるほど治療の選択肢が広がり、体への負担を抑えられる可能性も高くなります。

乳がんの病期別5年相対生存率

早期の段階で発見された乳がんは、5年相対生存率が高い傾向にあります。自覚症状がない時期から検診を受けることが、早期発見につながります。
「気になる変化はあるけれど、しばらく様子を見よう」と考えず、いつもと違う状態に気付いたときは、早めに乳腺外科などへ相談しましょう。

普段の状態を知る「ブレスト・アウェアネス」

乳がんの早期発見につながる習慣として、「ブレスト・アウェアネス」があります。

これは、日頃から自分の乳房の状態を知り、乳がんの早期発見につなげる生活習慣のこと。

入浴や着替えの際などに、乳房の形や皮膚の状態を見たり、触れたりして、普段の乳房の状態を確認します。

次のような変化が見られた場合は、早めに受診しましょう。

・乳房や脇の下にしこりがある
・乳房の皮膚にくぼみやひきつれがある
・乳頭から血の混じった分泌物が出る
・乳頭や乳輪にただれがある
・乳房の形や大きさに変化がある

ブレスト・アウェアネスは、乳がん検診の代わりになるものではありません。自分で変化に気を配ることと、定期的な検診を組み合わせることが重要です。

マンモグラフィと乳腺エコーの違い

乳がんの検査には、主にマンモグラフィーと乳腺エコーがあります。

マンモグラフィー

乳房を板で挟んで撮影するX線検査です。乳がんの可能性を示す微細な石灰化や、乳腺の構造の乱れを見つけることに優れています。

検査では乳房を圧迫するため、痛みを感じることがあります。乳房が張りやすい月経前は痛みが強くなる場合があるため、可能であれば検査の時期を調整する方法もあります。

乳腺エコー

乳房にゼリーを塗り、超音波を発する機器を当てて乳房の内部を調べる検査です。乳房を圧迫しないため痛みが少なく、放射線による被ばくもありません。

しこりを見つけることに優れており、乳腺の密度が高い人や若い世代の検査にも用いられます。一方で、微細な石灰化などは、マンモグラフィの方が見つけやすい場合があります。

どちらか一方が全ての面で優れているわけではありません。年齢や乳房の状態、症状などに応じて、適切な検査を受けることが大切です。

乳がんのリスクには二つの種類がある

乳がんの発症に関係する要因には、「変えられないもの」と「変えられるもの」があります。
変えられないリスクには、年齢、家族歴、遺伝子の特徴、女性ホルモンの影響などがあります。
乳がんは30歳代から増え始め、40歳代以降で多くなります。年齢を変えることはできませんが、年齢に応じて検診を受けることで、早期発見に備えることができます。
また、乳がんのうち、遺伝が関係するものは全体の5~10%程度とされています。家族に乳がんや卵巣がんになった人がいる場合や、若い年齢で乳がんになった人がいる場合には、遺伝的な要因が関係する可能性があります。
ただし、家族に乳がんの人がいるからといって、必ず遺伝性であるとは限りません。気になる場合は、一人で判断せず、乳腺科などに相談してください。
変えられないリスクがあっても、自分を責めたり、過度に不安になったりする必要はありません。自分のリスクを知り、検診や健康管理に生かすことが大切です。

乳がんの発症リスクを完全にゼロにすることはできませんが、生活習慣を整えることでリスクを下げられる可能性があります。
特に関係するのが、飲酒、喫煙、肥満、運動不足です。
飲酒量が増えるほど、乳がんの発症リスクが高くなることが分かっています。毎日飲酒する習慣がある人は、飲まない日を設けたり、1回に飲む量を減らしたりすることから始めましょう。
また、特に閉経後の肥満は、乳がんのリスクを高める要因の一つです。極端な食事制限をするのではなく、間食や夜食を見直し、適正体重を意識することが大切です。
運動についても、特別なスポーツを始める必要はありません。買い物の際に少し遠回りをする、階段を使う、短い時間でも歩くなど、日常生活の中で体を動かす機会を増やしましょう。
喫煙は、乳がんに限らず、さまざまながんや生活習慣病のリスクを高めます。禁煙が難しい場合は、禁煙外来などを利用する方法もあります。

今日からできる一歩を

乳がんを完全に防ぐことはできません。しかし、普段から乳房の状態を意識し、定期的に検診を受けることで、早期発見につなげることができます。
また、飲酒量を減らす、体を動かす、適正体重を保つなど、日常生活の中で見直せることもあります。

全てを一度に変える必要はありません。

「次の検診日を確認する」「いつもより少し歩く」「お酒を飲まない日をつくる」。できることを一つずつ、自分のペースで始めてみてはいかがでしょうか。

監修

洛和会音羽病院 乳腺科 
医師
松本 沙耶

こちらの記事もおすすめ