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スマホ時代に見直したい「見る力」を育てる視覚機能

2026.11.04

 スマートフォンやパソコンは、仕事や学習、娯楽に欠かせない存在になりました。その一方で、画面を見る時間も座って過ごす時間も長くなり、目と体への負担が課題になっています。この記事では、まず座りすぎの現状を確認し、簡単な体力テストで今の自分を知ったうえで、「見る力」を育てるビジョントレーニングを紹介します。

日本人は、座りすぎ?

 2026年に公表された国内の調査(20歳以上の約2500人が活動量計を着けて測定)では、座って過ごす時間は1日約8.9時間(中央値)でした。特に20代では約9.3時間と長く、日常生活の多くを座って過ごしている実態がうかがえます。※1
 長時間の座りすぎは、健康にも影響します。日本人約6万4000人を平均7.7年追跡した研究では、日中の座る時間が2時間長くなるごとに、死亡リスクが15%高くなる関連が報告されています。※2

 厚生労働省は、座りっぱなしの時間が長くなりすぎないよう注意することを推奨しています。長時間座り続けないよう、定期的に立ち上がったり、少し歩いたりすることが大切です。

※1: 笹川スポーツ財団・明治安田厚生事業団「活動量計による身体活動・スポーツの実態把握調査2025」(2026年10月公表)
※2: 京都府立医科大学などによるJ-MICC Study(2021年発表)

やってみよう体力チェック

立ち上がりテスト(下肢筋力)

座った姿勢から両脚または片脚で立ち上がれるかを確認し、脚の筋力を調べるテストです。同年代の目安と比較することで、自分の脚力を確認できます。

【テストの方法】

  1. 高さ40センチの台に座り、両脚を肩幅程度に開いて、胸の前で腕を組みます。
  2. 反動をつけずに両脚で立ち上がり、その姿勢を3秒間保ちます。
  3. 両脚で立ち上がれたら、次は片脚で挑戦します。片方の脚を浮かせ、膝を軽く曲げた状態で立ち上がり、3秒間保ちます。
  4. 片脚で左右とも立ち上がれた場合は、10センチずつ低い台で試します。片脚で立ち上がれない場合は、両脚で30センチの台から試します。

立ち上がれた台の高さと、両脚・片脚の結果を記録しましょう。片脚の場合は、左右両方で確認します。

【台の高さの目安】

各年代の約半数が立ち上がることのできた高さです。

年代 男性 女性
20~29歳 片脚 20cm 片脚 30cm
30~39歳 片脚 30cm 片脚 40cm
40~69歳 片脚 40cm 片脚 40cm
70歳以上 両脚 10cm 両脚 10cm

※膝や腰に痛みがある場合は無理をせず、テスト中に痛みが生じそうな場合は中止してください。転倒にも十分注意しましょう。
出典:日本整形外科学会「ロコモONLINE|立ち上がりテスト」、ロコモ チャレンジ!推進協議会ロコモ度テストワーキンググループ調査資料

片足立ち(体幹・バランス)テスト

  1. 両手を腰にあて、片足を上げて目を閉じる(足の高さは自由。反対側の脚にひっかけてはいけません)
  2. 最大70秒まで測る
  3. 次のどれかに当てはまった時点で終了。上げた足が床に着く、手が腰から離れる、軸足が動く

左右2回実施して、良い方を記録します。

あなたの体幹年齢 (※目安)

時間 体幹年齢
70秒以上 20代
55秒以上 30代
40秒以上 40代
20秒以上 50代
10秒以上 60代
5秒以上 70代
4秒未満 80代

出典:国立長寿医療研究センターによる推定年代別数値(閉眼片足立ちテスト)

30分に1回立ちましょう

座りすぎを減らすには、こまめに立って動くことです。

  • 30分に1回の場合は、3分間立って動く
  • 60分に1回の場合は、5分間立って動く

それが難しければ、座ったままでもできる足の運動を取り入れましょう。

出典:スポーツ庁ウェブサイトWeb広報マガジン

スマホは1日、何時間見ていますか?

 総務省の調査(2025年12月実施)では、スマートフォンと携帯電話によるインターネット利用時間は、全年代(13〜79歳)の平均で、平日が約2時間、休日が約2時間21分でした。年代別では、10代と20代が特に長く、休日は4時間を超えています。

年代 平日(1日) 休日(1日)
全年代(13~79歳) 約2時間(120.5分) 約2時間21分(140.7分)
10代 約3時間22分(201.5分) 約4時間26分(265.5分)
20代 約3時間14分(194.4分) 約4時間18分(257.5分)
30代 約2時間23分(143.0分) 約2時間44分(164.2分)
40代 約2時間31分(150.7分) 約3時間5分(184.7分)
50代 約1時間38分(97.9分) 約1時間42分(102.1分)

出典:総務省情報通信政策研究所 「令和7年度 情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査報告書(概要)」 (2026年6月公表)

スマホの見すぎによる不調(目)

  • スマホ老眼(調節性眼精疲労) 近くの画面にピントを合わせ続けることで目の筋肉が固まり、遠くが見えにくくなります。※一時的にピントが合いにくくなる状態で、加齢による老眼とは別
  • スマホドライアイ まばたきの回数が大きく減り、涙が減って乾燥します。
  • スマホ急性内斜視 画面を近づけて見続けることで目が内側に寄ったまま戻りにくくなり、物が二重に見えることがあります。
  • スマホ老眼(調節性眼精疲労)

  • スマホドライアイ

  • スマホ急性内斜視

スマホの見すぎによる不調(体)

  • 肩こり・首こり・頭痛 うつむき姿勢や前傾姿勢が続くことで、筋肉がこわばり、血流が悪くなります。
  • 睡眠不足・睡眠の質の低下 寝る前に画面を見ると、寝つきにくくなることがあります。
  • スマホ脳疲労 長時間見続けると、集中しにくく感じることがあります。
  • イライラ・不安感 自律神経のバランスが崩れ、メンタルの不調につながることがあります。
やってみよう!ビジョントレーニング

 ビジョントレーニングとは、視覚機能を鍛え、総合的な「見る力」を向上させるトレーニングです。「見る」ことは、次の3段階で成り立っています。

入力(対象を目でとらえる) → 情報処理(それが何かを判断する) → 出力(判断に沿った行動をとる)

 入力・情報処理・出力の動作を鍛えることで、集中力、書く・読む力、運動力、イメージの能力を向上させます。

ビジョントレーニングで目指すこと

  1. 素早く目を動かし、見たいものを見る力
  2. 左右の目のバランスを整える力
  3. 見たものを認識し、記憶する力
  4. 目と体を協調させて使う力
  5. 周辺の情報に目を向ける力(周辺視野)

ウオーミングアップ(ウインク)

  1. 左右交互にリズミカルにウインク10〜20回
  2. 同様に少しスピードを速めて10〜20回
  3. 今度はふわっとゆっくり柔らかく10〜20回
  4. 最後は意識的にギュッと強めに10〜20回
  5. 仕上げに両目をギュッと閉じてパッと開く3回

ウインクをすると目の周りがほぐれ、適度な刺激で涙がゆきわたります。

利き目をチェック

  1. 両手の親指と人差し指で三角を作ります。
  2. 目標物(壁掛け時計など)を決め、両目で見ながら、目標物を三角の中に入れます。
  3. 片方ずつ目を閉じ、目標物が見えた方の目が「利き目」です。
眼筋ストレッチ

 ご自身の左右、どちらかの親指の爪に焦点を合わせます。その親指に焦点を合わせたままで、顔の前(目の前)まで近づけたり、遠ざけたりしましょう。指を近づけた際に、目がしっかり寄っているか、指を遠ざけた際には目が元通りに戻っているかチェックをしましょう。

続いては、腕をまっすぐ伸ばして親指を立て、親指の爪に視線を合わせます。

腕をゆっくり左右に動かし、親指の爪を目だけで追います。左右に5往復、約20秒間行います。

次に、同じように腕を上下に動かし、上下に5往復、約20秒間視線を移動させます。

顔は正面に向けたまま動かさず、目だけで親指を追うことがポイントです。合計約40秒間を目安に、無理のない範囲で行います。

続いて、腕を大きく動かし、目を動かす範囲を広げます。

まず、腕を頭の上まで伸ばした状態から、太ももまでゆっくり下ろし、親指の爪を目だけで追います。上下に5往復、約20秒間行います。

次に、腕を斜め上から反対側の斜め下へ動かし、視線を斜め方向に移動させます。こちらも5往復、約20秒間行います。

前のストレッチと同様に、顔は正面に向けたまま動かさず、親指を目だけで追います。合計約40秒間を目安に、無理のない範囲でゆっくり行います。

次は、親指を動かさず、視線を固定したまま頭を動かします。

まず、腕を正面にまっすぐ伸ばして親指を立て、その爪に視線を合わせます。親指を見続けながら、頭をゆっくり左右に動かします。左右に5往復、約20秒間行います。

次に、同じ姿勢のまま、頭をゆっくり上下に動かします。視線は親指から外さず、上下に5往復、約20秒間行います。

腕と親指の位置を変えず、頭を動かしても親指を見続けることがポイントです。合計約40秒間を目安に、無理のない範囲で行います。

続いて、左右や前後にある親指を交互に見て、両目の動きとピントの切り替えを練習します。

【基本のやり方】

① 横方向のトレーニング

両腕を前に伸ばして左右に広げ、親指を立てます。顔は正面に向けたまま、左右の親指を交互に見ます。左右5往復、約20秒間を目安に行います。

② 前後方向のトレーニング

片方の腕を前に伸ばし、もう片方の親指を顔の近くに置きます。頭を動かさず、近くと遠くの親指に交互に視線を合わせます。5往復、約20秒間を目安に行います。

慣れてきたら、専用の絵や記号を使って、両目の視線を調整しながら立体的に見るトレーニングもあります。

 スマートフォンを使う時間は、iPhoneの「スクリーンタイム」やAndroidの「デジタル ウェルビーイング」で確認できます。まずは、自分が1日にどれくらいスマートフォンを使っているのか、把握することから始めましょう。

例えば、「1日の利用時間が2時間を超えたら、意識的に目を休める」といった自分なりのルールを決め、休憩の際に今回紹介したトレーニングを取り入れるのも一つの方法です。スマートフォンが欠かせない時代だからこそ、使う時間を意識し、目をいたわる習慣を少しずつ日常生活に取り入れてみてはいかがでしょうか。

洛和キッズアフタースクールもりやま
健康運動指導士 福田 公雄

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