最近「見えにくい」は気のせい?
2026.05.09
専門家に聞く“アイフレイル”と目のSOS
「最近、なんだか見えにくい」
「夜の運転で対向車のライトがまぶしい」
「夕方になると急に見えづらくなる」
そんな変化を、「年齢のせいだから」と済ませていませんか。
しかし、その“ちょっとした違和感”の裏には、目の病気が隠れていることがあります。
洛和会音羽病院 アイセンターの視能訓練士・中岡久志 は、「目は“見えにくさ”という形で、体に異変を知らせています」と話します。
「見えにくい」の背景にある主な病気
加齢によって目の機能は少しずつ低下します。
ただし、その変化の中には早期発見が重要な病気もあります。
白内障
高齢者の約80%が発症するといわれる病気です。
目の中でピント調節を行う「水晶体」が加齢や紫外線などの影響で白く濁り、以下の症状が現れます。
- 全体がかすむ
- 光がまぶしい
- 夜間運転がしづらい
- ものが二重、三重に見える
ゆっくり進行するため、「気づいたらかなり悪化していた」というケースも少なくありません。
緑内障
現在、日本の失明原因第1位とされる病気です。眼球の硬さを保つ「眼圧」の影響などによって視神経が傷つき、徐々に視野が欠けていきます。厄介なのは、“静かに進行する”ことです。
- 視野の一部が欠ける
- 信号や対向車に気づきにくい
- 足元が見えづらい
初期はほとんど自覚症状がありません。片目の異常をもう片方の目や脳が補ってしまうため、「見えているつもり」で進行しているケースもあります。
加齢黄斑変性
網膜の中心部にある「黄斑部」が障害される病気です。
- 文字がゆがむ
- 中心が見えない
- 視力が低下する
読書や運転にも大きな影響を及ぼします。加齢だけでなく、生活習慣も関係するとされています。
糖尿病網膜症
糖尿病によって目の血管が傷つき、出血やむくみを起こす病気です。進行すると以下の症状がみられます。
- 硝子体出血
- 網膜剥離
- 重度の視力低下
特に怖いのは、「見えにくくなる前」に進行していることがある点です。そのため、糖尿病と診断された人は、自覚症状がなくても定期的な眼科検査が重要とされています。
「アイフレイル」という考え方
近年注目されているのが、「アイフレイル」という概念です。これは、加齢や生活習慣などによって“見る力”が衰え始めた状態を指します。進行すると生活全体に影響を及ぼすことがあります。
- 見えないから外出しなくなる
- 見えないから危険が増える
- 見えないから人と会うのがおっくうになる
視力の低下は、転倒や事故、さらには社会参加の減少にもつながるため、“健康寿命”にも関係すると考えられています。
自宅で簡単セルフケア
蒸しタオルで温める
40℃程度の蒸しタオルを数分間あてることで、目の周囲の筋肉や涙の通り道をほぐす効果が期待できます。
意識的にまばたきをする
スマートフォンやパソコンを見続けると、まばたきの回数は減少します。10秒間まばたきを我慢できない場合、ドライアイ傾向の可能性もあるとされています。
目線を動かしてリラックス
顔は動かさず、目だけを上下左右に動かすことで、眼精疲労の軽減につながる場合があります。
自分で気づくためのチェックポイント
2つ以上当てはまる場合、 アイフレイルの可能性があるとされています。
「症状がないから受診しない」ではなく…
日々、多くの患者さんと接している視能訓練士の中岡氏は、「もっと早く相談してもよかったのに」という場面に立ち会ってきたといいます。
「症状がないから受診しない、ではなく、“歯と同じで、定期的に診ておこう”という感覚で来ていただきたい」
目の病気の多くは、初期には自覚症状がほとんどないと言われています。
これからも、自分らしい日常を楽しむために。まずは一度、ご自身の目の変化に目を向けてみてはいかがでしょうか。
洛和会音羽病院アイセンター
視能訓練士
中岡 久志(なかおか ひさし)
内容:らくわ健康教室ぷらす5月7日(木)開催 「眼にもあります健康寿命「アイフレイル」について」で扱われた内容を起点に、あらためて整理・構成しています。
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