京都の夏8月「危険」ランク予想 油断しない熱中症対策
2026.06.24
「京都の夏は暑い」とよく言われますが、近年はいつもの暑さでは済まされない日も増えています。日本気象協会の「2026年の気温傾向と熱中症傾向」では、2026年6月から8月の気温は全国的に平年より高く、早い時期から厳しい暑さとなり、梅雨明け後は猛暑日が増える見込みとされています。近畿地方では、7月に全域で「厳重警戒」ランク、8月には大阪府と京都府で「危険」ランクになる見込みです。
※気象庁発表
さらに、京都気候変動適応センターによると、2024年の京都市の猛暑日は54日となり、2022年の25日、2023年の43日を上回りました。京都市消防局によると、京都市では2025年(昨年) 、熱中症またはその疑いで1,014人が救急搬送されています。
京都市・令和8年度熱中症予防の取組より
こうした状況について、洛和会音羽病院 救命救急センター 医師の宮前伸啓先生は、高齢者の室内での熱中症や、基礎疾患・服薬によるリスクに注意を促しています。救急搬送される人の中には、高齢者が室内で熱中症を発症しているケースも少なくありません。心疾患、脳疾患、肺気腫、糖尿病などの基礎疾患がある方に加え、服用している薬の種類によっては、体の「冷やす機能」を邪魔してしまい体に熱を籠もりやすくしてしまいます。夜、室内ということに安心せず、気温、湿度の高い熱帯夜など、リスクの高い夜は、特に水分をこまめにとり、室内の温度管理を意識することが大切です。
熱中症は、特別な場所で起こるものではありません。買い物や通勤、庭仕事、部屋の中で過ごしている時間にも起こります。だからこそ、「まだいける」と我慢するのではなく、暑くなる前から対策を始めることが大切です。
京都の夏は、早めの熱中症対策が必要
熱中症は、気温が高い日だけでなく、湿度が高い日にも起こりやすくなります。京都の夏は気温の高さに加え、湿度が高く、風が通りにくい日もあります。体に熱がこもりやすく、気づかないうちに体調を崩してしまうことがあります。
特に注意したいのは、梅雨明け後の急な暑さです。体が暑さに慣れていない時期は、同じ気温でも熱中症のリスクが高くなります。京都市の熱中症搬送者数は、7月中旬と8月初めに多くなる傾向があることも報告されています。本格的に暑くなってから対策するのではなく、6月ごろから「水分をこまめに取る」「エアコンを使う」「外出時間を調整する」といった習慣をつけておくことが、夏を安全に過ごす第一歩です。
熱中症は屋外だけでなく、室内でも起こる
熱中症というと、炎天下での運動や屋外作業を思い浮かべる人が多いかもしれません。しかし、実際には室内でも多く発生しています。京都府の2025年度の熱中症救急搬送データでは、発生場所別で最も多かったのは「住居」でした。家の中にいるから安全、というわけではありません。
▼室内で注意したいのは、次のような場面
こんな環境では室内でも熱中症に注意
▶ 夜間、エアコンを切って寝ている
▶ 窓を閉め切った部屋で過ごしている
▶ 台所や洗面所など、熱や湿気がこもりやすい場所にいる
▶ 「電気代が気になる」「冷えすぎるのが嫌」とエアコンを我慢している
▶ 高齢の家族が一人で過ごしている
熱中症は、体温調節がうまくできなくなり、体の中に熱がこもることで起こります。室内でも、温度や湿度が高い状態が続けば危険です。「暑いと感じたら使う」ではなく、室温や湿度を見ながら早めにエアコンや扇風機を使いましょう。普段過ごす部屋には、温度計や湿度計を置いておくと安心です。
子どもと高齢者は、特に注意が必要
子どものこんな様子に注意
▶ 顔が赤い
▶ 汗を大量にかいている、または汗が出ていない
▶ 元気がない
▶ ぐったりしている
▶ 機嫌が悪い
▶ 水分を取りたがらない
高齢者の熱中症対策
高齢者は、暑さやのどの渇きを感じにくくなることがあります。また、持病がある方や、利尿薬などの薬を服用している方は、脱水に注意が必要です。特に一人暮らしの高齢者は、熱中症になっても周囲が気づくまでに時間がかかることがあります。家族や近所の人が、電話や声かけで様子を確認することも大切な対策です。
高齢者の熱中症対策では、本人の「大丈夫」という言葉だけに頼りすぎないことも大切です。室温が高い、汗をかいている、食欲がない、ぼんやりしているなど、普段と違う様子があれば早めに休ませ、必要に応じて医療機関や救急相談につなげましょう。
のどが渇く前に水分補給を
熱中症予防の基本は、水分補給です。ただし、「のどが渇いたら飲む」では遅い場合があります。のどの渇きを感じた時点で、すでに体の水分が不足し始めていることがあります。 おすすめは時間を決めて少しずつ飲むことです。
大量に汗をかいたときは、水分だけでなく塩分も必要になることがあります。屋外作業、スポーツ、長時間の外出時などは、経口補水液やスポーツドリンク、塩分を含む食品などを状況に応じて活用しましょう。ただし、心臓病、腎臓病、高血圧、糖尿病などで水分や塩分の制限を受けている方は、自己判断で大量に摂取せず、主治医の指示に従ってください。
京都市内では、無料でマイボトルに給水できる「給水スポット」が約800カ所以上あります。外出前に場所を確認しておくと、暑い日の移動中にも水分補給をしやすくなります。
エアコンを我慢しない
熱中症予防で大切なのは、「我慢しない」ことです。特に高齢の方の中には、「昔はエアコンを使わなかった」「冷房は体に悪い」「電気代がもったいない」と感じる方もいるかもしれません。しかし、近年の暑さは以前とは違います。命を守るために、エアコンは必要な対策です。室温28℃を目安に、エアコンや扇風機を上手に使いましょう。冷えすぎが気になる場合は、設定温度を調整する、風が直接当たらないようにする、薄手の羽織ものを使うなどの方法があります。
また、日差しが強い部屋では、カーテンやすだれ、遮光・遮熱シートを使うだけでも室温の上昇を抑えやすくなります。 夜間寝ている間は、水分補給ができず、体調の変化にも気づきにくくなります。暑い夜は、無理にエアコンを切らず、タイマーや除湿機能を活用しましょう。
▼暑さ指数・熱中症警戒アラート
外出や運動、庭仕事などを予定している日は、気温だけでなく「暑さ指数(WBGT)」も確認しましょう。暑さ指数は、気温だけでなく湿度、日射、風などをもとに、熱中症の危険度を示す指標です。気温がそれほど高く見えなくても、湿度が高い日は熱中症の危険が高くなることがあります。
環境省の「熱中症予防情報サイト」では、京都の暑さ指数を確認できます。熱中症警戒アラートや熱中症特別警戒アラートが発表されている日は、不要不急の外出を控える、運動を中止する、屋外作業の時間を短くするなど、予定を見直すことも必要です。
また京都市では、熱中症特別警戒アラートが京都府内に発令された際に、暑さをしのげる場所としてクーリングシェルターを指定しています。区役所、図書館、体育館、商業施設、薬局など、地域ごとに利用できる施設があります。外出先で「少し休みたい」と思ったときに使える場所を、あらかじめ確認しておくと安心です。
洛和会音羽病院 救命救急センター 医師の宮前伸啓先生は、重症化した熱中症にも注意が必要だと指摘しています。
熱中症の中でも最も重い状態である熱射病は、40℃以上の高体温と意識障害を伴うことがある重篤な病態です。「Heat stroke」と呼ばれ、熱によって脳を含む体の重要な機能に障害が起こる危険があります。
命に関わる状態のため、一刻も早く体を冷やす必要があります。医療現場では、深部体温を38℃以下に下げることを目標に、速やかな冷却処置が行われます。意識がはっきりしない、呼びかけへの反応が鈍い、自力で水分を飲めないといった症状がある場合は、ためらわずに救急要請を行うことが重要です。
熱中症の可能性がある症状
めまい、立ちくらみ
頭痛
吐き気、嘔吐
体がだるい
大量の汗、または汗が出ない
筋肉のけいれん
ぼんやりする
呼びかけへの反応が鈍い
まっすぐ歩けない
水分を自分で飲めない
上記の症状がでたら、まずは涼しい場所へ移動し、衣服をゆるめ、首、わきの下、太ももの付け根などを冷やしましょう。意識がはっきりしていて、自分で飲める場合は、水分を少しずつ取ります。 ただし、意識がない、呼びかけに反応しない、自力で水分を飲めない、症状が改善しない場合は、迷わず119番通報してください。 病院へ行くべきか、救急車を呼ぶべきか迷う場合は、看護師に電話相談できる救急安心センターきょうと「♯7119」も活用できます。受診可能な医療機関については、京都健康医療よろずネットでも案内されています。
京都の夏を安全に過ごすために
京都の夏を安全に過ごすためのポイント
▶ 朝のうちに暑さ指数を確認する
▶ のどが渇く前に水分を取る
▶ エアコンを我慢しない
▶ 外出時間を調整する
▶ 子どもや高齢者の様子をこまめに見る
▶ 涼める場所を事前に確認しておく
熱中症は、誰にでも起こりうる一方で、予防もできます。自分自身だけでなく、家族や近くにいる人の変化にも気づけるよう、暑さを数字で確認し、早めに体を守る行動を取りましょう。
出典
・日本気象協会推進「熱中症ゼロへ」 日本気象協会発表!2026年の気温傾向と熱中症傾向
・京都気候変動適応センター 京都市近年の猛暑日の積算日数
・京都市消防局 熱中症に御注意ください!
・京都府 熱中症予防対策(救急搬送状況のデータ) 熱中症予防対策(2025年度の救急搬送状況のデータ)
・京都市 クーリングシェルター(指定暑熱避難施設)の一覧
・京都こごみネット マイボトル・給水スポット
・環境省 熱中症予防情報サイト/京都の暑さ指数(WBGT)
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