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京都発、セルフケア最前線 ー健康管理はもっと身近にー

2026.08.04

医療とテクノロジーが変えるセルフケア

健康管理というと、病院で受ける検査や、家庭で測る血圧・体重を思い浮かべる人が多いかもしれません。しかし、最近は、身につけるデバイスやスマートフォンアプリ、AIを活用した研究などによって、日々の体の変化を記録し、医療や予防につなげようとする取り組みが広がっています。

 京都でも、大学や企業、スタートアップが連携し、暮らしの中で健康を見守る新しい技術が生まれ始めています。今回は、京都発のヘルスケア技術の中から、日常のセルフケアに関わる取り組みを紹介します。

身につける健康管理が、日常に近づいている

健康管理のためのデバイスは、腕時計型やリング型など、さまざまな形で広がってきました。その一方で、「いかにも機器を着けている感じが苦手」「服装に合わない」と感じる人もいます。そうした課題に対し、京都大学ジュエリーブランドが、イヤーカフ型ウェアラブルデバイスの技術について共同で特許を出願しています。耳に装着するイヤーカフの形状に、レーダーセンサーや各種センサーを内蔵し、呼吸数、心拍数、血圧などのバイタルサインを推定する技術です。 

健康管理が「特別な行動」ではなく、身につけるものとして「日常」に自然になじむ形になれば、記録を続ける心理的なハードルを下げられる可能性があります。もちろん、こうしたデバイスは医師の診断に代わるものではありません。しかし、自分の体の変化に早く気づき、必要なときに医療者へ相談するきっかけになります。 

女性の体調変化を、記録しやすくするフェムテック

女性の健康課題をテクノロジーで支える 「フェムテック」も、注目されている分野です。 月経、更年期、妊娠・出産など、女性の体はライフステージによって変化します。一方で、体調の変化は本人にも言語化しにくく、受診時に「いつから」「どのくらい」「どんな症状があったか」を伝えるのが難しいことがあります。月経や更年期に伴う不調は、症状の出方や感じ方に個人差が大きく、「なんとなく不調」として見過ごされることも少なくありません。だからこそ、体調の変化を記録し、必要なときに医療機関へ相談しやすくする仕組みが求められています。 導電性繊維を活用したウェアラブル技術を手がけるミツフジは、Bé-A Japanと共同で、経血量を計測できる吸水ショーツの開発プロジェクトを発表しています。 こうした技術は、単にデータを集めるためのものではありません。これまで言葉にしにくかった体調の変化を見える形にし、不安があるときに医療者へ相談する手がかりになります。 

PHRで、自分の健康情報を見る

こうしたデバイスやアプリで記録した情報をどう活用するか。そこで関わってくるのが、PHR(パーソナルヘルスレコード)です。 PHRとは、健康診断の結果、薬の情報、日々の血圧や体重など、自分の健康に関する情報を本人が管理し、必要に応じて活用する考え方です。国も医療DXの一環として、全国医療情報プラットフォームの創設や、電子カルテ情報の共有、健診情報などを本人が確認できる仕組みづくりを進めています。 

 

例えば、マイナポータルでは、特定健診の結果などを確認できます。ただし、過去の健康診断結果については、登録から5年を超えたものは表示されないなど、確認できる範囲に条件があります。

 京都では、このPHRの考え方を医療機関の電子カルテ共有と融合させた取り組みも実際に動いています。それが「まいこネット」です。特定非営利活動法人・京都地域連携医療推進協議会が運営するこのサービスは、次世代医療ICT基盤協議会が主導する大規模診療データ活用プロジェクト「千年カルテ」の枠組みを取り入れており、全国規模のデータセンターに診療データを安全に集約することで、地域ごとに個別のシステムを構築するコストや運用負担を抑えています。

 利用者はスマートフォンに専用アプリをインストールし、本人確認の手続きを行うことで、自分のカルテ内容や処方内容、血液検査などの結果を、生涯にわたっていつでも手元で確認できます。現在、まいこネットで新たに電子カルテ情報を連携できるのは、京都大学医学部附属病院京都府立医科大学附属病院の二大大学病院が中心です。京都大学医学部附属病院はWebから登録申請ができる一方、京都府立医科大学附属病院は外来診療棟の窓口で申請書を受け取り、対面で手続きを行う必要があるなど、病院ごとに手順が異なります。利用登録料や月額のシステム利用料は無料ですが、アプリ内のサードパーティ製有料プランや通信料は自己負担になります。

 まいこネットならではの特徴としては、患者自身が医師のカルテ記述をそのまま閲覧できる点が挙げられます。がんの告知や厳しい予後予測、検査値の悪化といった内容が直接画面に映ることもあるため、登録前に利用規約を十分に理解し、どのような情報まで確認したいのかをご家族と話し合っておくことが重要です。

AIが、予防医療を支える時代へ

オムロン ヘルスケアと京都大学は2021年、共同研究講座として「健康医療AI講座」を設置しました。血圧変動や心電データなどの生体センシング技術とAI解析技術を組み合わせ、脳・心血管疾患の発症予測や重症化予防を目指す研究を進めています。さらに研究グループは、約30万人分の家庭血圧測定データを解析し、血圧測定の継続性を予測するAIモデルを開発したことも発表しています。 

体の変化に気づくことが、セルフケアの第一歩

医療とテクノロジーの進化は、病院の中だけで起きているものではありません。身につけるデバイスやアプリ、AIを活用した研究によって、日々の体の変化を記録し、健康管理に生かす取り組みが広がっています。 ただし、データがあるだけで健康が守られるわけではありません。大切なのは、その記録によって自分の体を知る手がかりにし、気になる変化があれば早めに医師へ相談することです。

知っておきたい3つのポイント

体調の変化に気づく

必要な情報を残しておく

不安をひとりで抱え込まない

 健康管理は、暮らしの中で自分の体に目を向けることです。京都で進むヘルスケアの取り組みも、こうした日々の健康管理を支えています。

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