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洛和会京都看護学校の校舎が「第14回京都建築賞」奨励賞を受賞

2026.07.28

洛和会京都看護学校の校舎が「第14回京都建築賞」奨励賞を受賞

2026年6月2日付の「第14回 京都建築賞 入賞作品(速報)」で、洛和会京都看護学校の校舎が、一般社団法人京都府建築士会主催の京都建築賞部門で奨励賞に選ばれました。

京都建築賞は、京都の歴史的文脈を踏まえた創造性の高い建築を表彰し、その活動と業績を社会に伝えることで、京都の建築の継承と発展をめざす賞です。速報には、受賞者として細尾直久氏(HOSOO architecture)、高吉輝樹氏(TT Architects)、佐久間譲氏(bananaLab)の3氏が記載されています。建築主の学校法人洛和学園には6月19日、建築への尽力と京都の発展への貢献に対し、京都府建築士会から感謝状が贈られました。

その校舎には、地域とのつながりを保ちながら、学びに必要な静けさを確保する工夫が随所にあります。

国道沿いのにぎわいと学びの静けさ

新校舎での授業は、2025年に始まりました。

校舎が立つのは、車と人が行き交う山科の国道沿いです。設計者は、不整形な敷地の輪郭を建物の形に取り込み、学校から洛和会の病院群へ続く道に沿って校舎を配置しました。外壁には、周辺の洛和会施設と呼応するベージュ色のタイルを使い、柔らかな表情を持たせています。

国道沿いで、どうすれば学びに必要な静けさを確保できるのか。国道側には倉庫や更衣室など窓を必要としない部屋、その内側には校内を巡る動線、中庭側には実習室や講義室を配置しています。道路のにぎわいを外側の部屋で受け止め、学生が過ごす内側へ静けさと光を取り込む構成です。設計者はこの三つの層を、表皮、内部組織、骨格から成る人体になぞらえました。

中庭は、学生や職員が談笑し、思い思いに過ごす校舎の中心です。北側の大窓から、学生は御陵の山並みを眺め、地域の人は窓越しに学生の姿を見ます。国道側の外観は、街に居場所を示す「旗」がモチーフです。

学生の自主学習と試行錯誤

広くて開放的な図書館では、学生が一人で机に向かい集中して自主学習を行います。

各教室では、グループが電子黒板と連動するモニターを1台ずつ使います。黒板から離れた席でも内容を確認でき、仲間と同じ情報を見ながら学習を進められます。

同じ教室で学ぶ学生の年齢や経歴も一様ではありません。社会人経験者の学生は、オープンキャンパスで見た学生の生き生きとした姿と、教員との距離の近さが入学の決め手になったと振り返っています。

背景の異なる学生が、同じ場所で支え合っています。

試行錯誤が最も見えやすいのは、シミュレーション演習です。新校舎の設備は心音や呼吸音を再現でき、異常時の状態も設定できます。学生は術後の排液量や創部を観察し、患者の腕の支え方まで、臨床現場を想定して繰り返し練習します。うまくいかなければ、仲間と手順や判断を確かめ、もう一度試します。

教員と学生の振り返り

演習が一度でうまくいくとは限りません。教員は、臨地実習で直面する状況を校内に再現し、学生の演習を行います。演習後、学生同で振り返り、何を感じ、どう動けばよかったのかを話し合います。教員は、その対話から次の行動を考えられるよう支えます。

うまくいかなかった場面も、そこで終わりません。学生は自分の考えを言葉にし、仲間の意見を聞きながら、判断の根拠を確かめます。この過程が、臨床判断力とコミュニケーション力を養います。教員は、校内での失敗を臨地実習での行動に結びつけ、学生が安心して患者さんと関われるよう支援します。

ある学生は、緊張する臨地実習で「シミュレーションでやったことだ」と思い出し、落ち着いて行動できたと振り返っています。校内で繰り返した経験が、患者さんを前にして落ち着きを取り戻す手がかりになりました。

記憶を呼び起こす校舎

御陵の山並み、図書館で机に向かった時間、演習後に仲間と交わした言葉。

細尾直久氏が掲げた「モニュメントとしての学校」は、こうした記憶と結びつく考えです。ここでいうモニュメントは、記念碑ではありません。
細尾氏は、言葉の原義に沿って「記憶を呼び起こさせるもの」と説明しています。

細尾氏が思い描いたのは、卒業生が看護師や助産師として困難に直面したとき、学生時代の記憶とともにこの校舎を思い出す姿です。
ここで過ごした時間を振り返り、自分の原点に立ち返れる場所を目指して、校舎はつくられました。

看ることは、やさしさの始まり。

洛和会京都看護学校は、

「いのちを見つめ、人間を支える」という

理念を教育の中心に据え、

人を看る力 ― 感じ取り、寄り添い、支える力 ― を

育てる学びを大切にしています。

 

看るという行為は、

目の前の小さな変化や

沈黙の中にある“心の声”を感じ取り、

その人らしさを尊重しながら

寄り添うことから始まります。

 

知識や技術に加えて、

感じ取る力、聴く力、気づく力を育むこと。

 

それが、やさしさを形にする看護の原点です。

受賞概要

賞名:第14回京都建築賞

受賞内容:京都建築賞部門 奨励賞

作品名:洛和会京都看護学校

受賞者:細尾直久(一級建築士事務所 株式会社HOSOO architecture)、高吉輝樹(TT Architects株式会社)、佐久間譲(一級建築士事務所 bananaLab)

建築主:学校法人洛和学園

所在地:京都市山科区小山北溝町2-2

工事期間:2023年10月から2025年1月

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