ホーム
/ 健康のこと / おいしく食べるコツ。食べられる口作りと栄養管理

おいしく食べるコツ。食べられる口作りと栄養管理

2026.09.30

一生おいしく食べるために。お口のセルフチェックとバスタオルで整える安心の食事姿勢

日常の中で「お茶を飲むときにむせやすくなった」「固いものが食べにくい」と感じることはありませんか?
年齢を重ねるにつれて起こるお口の衰えは、放っておくと食べ物が誤って気道に入る「誤嚥(ごえん)」につながる可能性があります。
この記事では、むせが起こる仕組みをはじめ、今日からご自宅で簡単にできる「喉とお口のトレーニング」、正しく安全な食事姿勢、さらにバスタオルを活用した姿勢のサポート技法について分かりやすくご紹介します。

喉に残った食べものを押し出す!
「お口と喉のトレーニング」

食べものをスムーズに飲み込み、誤嚥(ごえん:食べものが誤って気道に入ること)を防ぐためには、日頃からお口や喉の筋肉を動かしておくことが大切です。ご自宅で簡単にできる運動をご紹介します。

意識的な「咳払い」(エッヘン!)
食事の途中や食べた後に、あえて「エッヘン!」と意識的に咳払いをしたり、声をだしたりしてみましょう。こうすることで、喉の奥に溜まっていた食べ残しを外へ押し出す練習になります。

深呼吸で胸郭(きょうかく)を広げる
しっかり息を吸って深呼吸を行います。背中や胸の周囲(胸郭)を広げることで、しっかり息を吐き出す範囲が広がり、力強い呼吸や咳ができるようになります。

唾液を出してスムーズに!唾液腺マッサージ

お口の中が乾いていると、食べものをまとめにくく、飲み込みづらくなります。唾液(だえき)の分泌を促しましょう。

・3つの唾液腺(だえきせん)マッサージ
- 耳下腺(じかせん): 両手の指(親指を除く4本の指)を頬にあて、耳の前あたりを後ろから前へ円を描くようにゆっくりまわします。
- 顎下腺(がっかせん): 下顎の骨の内側の部分に親指をあて、耳の下から下顎の先まで、5箇所くらいに分けて順にゆっくり押していきます。
- 舌下腺(ぜっかせん): 両方の親指をそろえて下顎中央の真下にあて、親指で下を押し上げるようにゆっくり押します。

ほっぺたを動かす!お口のトレーニング

お口周りの筋肉や舌を柔軟に動かすことで、食べものをしっかり噛んで口の奥へ送る力がつきます。

ほっぺたを動かす
両頬を膨らませる、右頬を膨らませる、左頬を膨らませる、両頬をへこませる、上唇・下唇を膨らませるなどの動きを行いましょう。

ほっぺたを動かす!舌のトレーニング

舌を上から下へ出す、下から上へ出す、右に出す、左に出す動きや、口の中で舌を右まわし・左まわしにする運動、唇を舌でなぞる運動を行います。

日常の中で家族や友人とたくさん話し、歌い、笑うことも素晴らしいお口の運動になります。

まずは自分の状態を知ろう!「お口と体の衰え」簡単チェック

お口や全身の機能が衰えていないか、定期的にセルフチェックを行うことが大切です。

 オーラルフレイル(お口の機能低下)チェック
「オーラルフレイル」とは、お口の機能にささいな衰えが生じている状態のことです。以下の5項目のうち、2つ以上あてはまる場合は注意が必要です。

1. 自分の歯が19本以下である(差し歯は含み、インプラントは含まない)
2. 半年前と比べて固いものが食べにくくなった
3. お茶や汁物でむせることがある
4. 口の渇きが気になる
5. 普段の会話で、はっきりと発音できないことがある

筋肉量のチェック(サルコペニア)

全身の筋肉量が減少した状態を「サルコペニア」と呼びます。
両手の親指と人差し指で輪を作り、利き足ではない方のふくらはぎの一番太い部分にあててみましょう。囲めなかった場合に比べて、ちょうど囲めたり隙間ができたりする方は、筋肉量が減っている可能性があります。

むせを防ぐ食事姿勢の基本

食べものを安全に飲み込むためには、座り姿勢の基本を整えることが欠かせません。
椅子に座る際は、以下のポイントを意識しましょう。

- 「顎(あご)を引く」のがコツ: 背筋をまっすぐ伸ばし、顎を引きます。顎と胸の間は「こぶし1つ分(指4本分)」程度あけるのが目安です。
- 体幹と足を安定させる: お尻を背もたれにしっかりとつけ、身体の中心がまっすぐになるように座ります。
- 関節の角度を90度に: お尻、膝、足首の角度がそれぞれ90度になるように調整します。大腿部全体で体重をささえ、足の裏をしっかり床につけることで身体が安定し、スムーズな飲み込みにつながります。

避難所や日常で大活躍!「バスタオル」を活用した姿勢の安定法

※画像は2026年9月26日「らくわ健康教室ぷらす」にて亀山先生によるバスタオルを活用した姿勢安定方法の実践風景

 

床やシートに直接座ったり、椅子の形状によって姿勢が崩れたりすると、腰が曲がって反動で顎が上がり、誤嚥を起こしやすくなります。そんなときは、厚手のバスタオルを巻いた「端巻きタオル(POTTプロジェクト)」を活用するのが効果的です。

端巻きタオルの作り方
バスタオルを半分の長さに折り、さらに三つ折りにします。タオルの両端を持ち、内向きに固めに巻き込むことで完成します。

様々な場面での活用法
- 座る・食べる時: 端巻きタオルをお尻の下に敷いて座ります。骨盤が安定して背筋が楽に伸び、姿勢が保ちやすくなります。
- 椅子や壁にもたれる時: 背中(肩甲骨より下)に端巻きタオルをあてることで姿勢が安定し、疲労や誤嚥性肺炎の予防につながります。
- 寝る時・寒い時: 頭を挟むように敷くことで横向きでも頭部が安定します。また、肩や膝にあてて両足を巻き込むと防寒にも役立ちます。

無理なく続けられる「食事づくりの工夫」

毎日の食事づくりで品数をたくさん用意するのは大変です。無理のない範囲で栄養を高める工夫を取り入れましょう。


- 副菜にツナを加える: お浸しなどにツナを和えるだけで、手軽に栄養価を高めることができます。小分けにして冷凍ストックしておくと便利です。
- 市販品を賢く選ぶ: パンを食べるときは惣菜パンを選んだり、ゆで卵を1つプラスしたり、高エネルギーのココアドリンクを活用するのもおすすめです。

お粥を具だくさん雑炊にする
➡お粥にお出汁をきかせ、魚や卵を加えることで、1品でエネルギーやタンパク質を一気に補えます。

調理時間:約10分
カロリー:418kcal
費用目安:300円前後
だしの風味や、魚を入れることで栄養価を上げる

”副菜を一つ追加するよりも一気に作成できる”

食事のお浸しにツナを加える。
➡冷凍 小分けして作り置き副菜を1品ストックできる。

エネルギー  324kcal
たんぱく質  9.7g
脂質  30.5g
炭水化物  4.1g
食塩相当量  1g
野菜摂取量  125g

たんぱくと脂質、カロリーを上げる。

市販品を活用する。

  • 食事を自分で用意できない
  • 食料品アクセス問題

まずは最低限の栄養を確保することが必要
⇓
普段の食生活を少し変えるだけで栄養バランスを整える工夫。

パンなら惣菜パンを選ぶ
ゆで卵を1つ追加する
高エネルギーのココアドリンクを選ぶ
など

毎日の食事づくりで品数をたくさん用意するのは大変です。無理のない範囲で栄養を高める工夫を取り入れましょう。

- お粥を具だくさん雑炊にする: お粥にお出汁をきかせ、魚や卵を加えることで、1品でエネルギーやタンパク質を一気に補えます。
- 副菜にツナを加える: お浸しなどにツナを和えるだけで、手軽に栄養価を高めることができます。小分けにして冷凍ストックしておくと便利です。
- 市販品を賢く選ぶ: パンを食べるときは惣菜パンを選んだり、ゆで卵を1つプラスしたり、高エネルギーのココアドリンクを活用するのもおすすめです。

今回のポイント

- 毎日「エッヘン!」と咳払い: 食事の終わりなどに意識して咳払いをし、喉に残った食べものを押し出しましょう。
- 唾液腺マッサージとお口の体操: マッサージや頬・舌の運動で「噛む・飲み込む」力を維持しましょう。
- 基本の座り姿勢(角度90度・顎を引く): 足の裏を床につけ、顎を引いて飲み込みやすい姿勢を保ちましょう。
- バスタオルで姿勢を安定させる: 端巻きタオルをお尻や背中にあて、骨盤や体幹をサポートしましょう。
- 手軽なひと工夫で栄養補給: 具だくさん雑炊やツナ和え、市販品を活用して無理なく栄養を高めましょう。

監修者プロフィール

洛和会音羽病院
摂食嚥下障害看護認定看護師
亀山 あかね(かめやま あかね)

次に読むなら