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生理不順は体からのサイン 漢方で整える女性の健康

2026.09.25

洛和会音羽リハビリテーション病院 副病院長で漢方専門医の山崎武俊がおすすめの漢方薬をご紹介する「山崎先生の漢方ラジオ外来出張版」。今回は、生理不順におすすめの漢方をご紹介します。

生理不順や生理痛は、多くの女性が経験する身近な悩みです。しかし、「少し我慢すれば大丈夫」と見過ごしているうちに、肩こりや頭痛、冷え、気分の不安定さなど、さまざまな不調につながっていることがあります。

女性の不調の背景にある生理の問題

東洋医学では、女性の体調を考えるうえで生理の状態を重視します。

肌荒れや頭痛、肩こり、冷え、疲れやすさなど、一見すると生理とは関係がないように見える症状でも、詳しく話を聞くと生理不順や生理痛を抱えている方は少なくありません。特に10代や20代の若い世代でも見られるため、「年齢が若いから問題ない」とは言えません。
その背景には、現代社会特有の生活環境があります。
夜更かしや睡眠不足、不規則な生活リズム、仕事や受験などによる精神的ストレスに加え、甘いものや冷たい飲み物の摂取、運動不足などが重なることで、体のバランスが崩れやすくなります。
 
特に重視するのが「冷え」です。運動不足によって筋肉量が減ると体温を維持しにくくなり、冷えやすい体質になります。また、無理なダイエットによって体重が減り、筋肉量も落ちてしまうと、さらに冷えが進み、生理不順や生理痛の原因になることがあります。
できれば温かいご飯や味噌汁をしっかり食べ、体を冷やさない生活を心掛けることが大切です。

生理不順の症状は人によってそれぞれですが、治療の基本となる代表的な処方が3つあります。

冷えやむくみが目立つ人に「当帰芍薬散」

当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)は、痩せ型で顔色が白く、冷えやすい方に使われることが多い処方です。

貧血傾向があり、夕方になると足がむくみやすい人にも向いています。
東洋医学では、体が冷えることで水分代謝が悪くなり、むくみが起こりやすくなると考えます。当帰芍薬散には、血の巡りを整える生薬と、水分の偏りを改善する生薬が含まれており、冷えやむくみの改善が期待できます。
 
この漢方が合う方の見た目の特徴としては、色白で華奢な体格の方が多く、「冷え症で疲れやすい」という悩みを併せ持つケースがよく見られます。
生理前のイライラが強い人に「加味逍遙散」

加味逍遙散(かみしょうようさん)は、生理前になると気分の浮き沈みが大きくなる方によく処方します。

女性は排卵前後や生理前にホルモンバランスの変化が起こりやすく、自律神経にも影響を与えると考えられています。その結果、イライラや不安感、気持ちの落ち込みといった症状が現れることがあります。
「自分でも抑えられないほどイライラする」「ちょっとしたことで感情的になってしまう」という方に、生理周期と症状の関係を考慮しながら処方します。
 
加味逍遙散を服用した方からは、「イライラがなくなるわけではないけれど、以前より気持ちをコントロールしやすくなった」という声もあります。
肩こりや頭痛を伴う人に「桂枝茯苓丸」

桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)は、比較的しっかりした体格の方に用いられることが多い処方です。

漢方では、血の巡りが滞った状態を「瘀血(おけつ)」と呼びます。生理不順が続いている方の中には、この瘀血が強く関係していると考えられるケースがあります。
特徴としては、生理不順だけでなく、肩こりや頭痛、下腹部の痛みなどを伴うことが少なくありません。診察では、下腹部を押したときに強い痛みがないかを確認することもあります。
 
桂枝茯苓丸は、こうした体内の悪い巡りを改善しながら、本来の血流の流れを取り戻し、血の巡りを整えることを目的として用いられます。
体質は人それぞれ 処方も一人ひとり異なる

生理不順を訴える方は「冷えがあって疲れやすい」「生理前はイライラする」「肩こりもひどい」など、複数の症状が重なっている場合が多いです。

そのため治療では、先ほど述べた3つのタイプにきれいに分類するのではなく、その人の中でどの要素が最も強いかを見極めながら漢方薬を選んでいきます。
最初からたくさんの薬を使うのではなく、できるだけシンプルな処方から始め、その反応を見ながら調整していくことが一般的です。
生理が整うことで感じられる変化

生理不順の改善は、生理周期そのものだけにとどまりません。

治療を続けるなかで、「長年悩んでいた肩こりが軽くなった」「頭痛が以前より少なくなった」と感じる方もいます。
漢方では、生理不順と肩こり、頭痛、冷えなどは別々の症状ではなく、同じ体質の問題から起こっている場合があると考えます。そのため、生理の状態を整えることが全身の不調改善につながることもあります。
もちろん、漢方薬を飲んでいれば不規則な生活を続けてもよいというわけではありません。
漢方薬の服用でつらい症状を軽減することで、生活習慣を見直す意欲を生み出し、より健康的な生活につなげることが大切です。
気になる症状は早めに相談を

漢方治療を検討する場合でも、子宮や卵巣の病気が隠れていないかを確認するため、産婦人科で診察を受けることも重要です。

生理は女性の健康状態を映し出す大切な指標の一つです。特に痛み止めが欠かせないほど症状が強い場合や、生理周期の乱れが続く場合は、一人で我慢せず医療機関を受診することをおすすめします。
 

※症状や体質には個人差があります。気になる症状がある方、治療中の方は、自己判断せず医師または薬剤師にご相談ください。

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