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「立つ」「座る」を支える介助のコツ

2026.10.02

力任せに持ち上げず、本人の動きを利用して支える

 「立つ」「座る」は、日常生活の中で何度も繰り返す基本的な動作です。しかし、加齢や病気などによって身体機能が低下すると、それまで自然にできていた動作にも手助けが必要になることがあります。このとき大切なのは、何でも代わりにしてしまうのではなく、本人が持っている力をできるだけ生かすことです。 

 

 介助する人にとっても、力任せに体を持ち上げる方法では負担が大きくなります。本人の体の動きを利用しながら、必要な部分を支えることがポイントです。 今回は、理学療法士に「立つ」「座る」動作を介助するときのポイントを聞きました。 

立ち上がる前に、足とひざの位置を整える

 立ち上がりを支えるときは、まず座っている姿勢を整えます。 足を肩幅程度に開き、ひざが90度ほど曲がる位置に足を置きます。 足が前に出すぎてひざの曲がりが浅くなると、立ち上がるときに力を入れにくくなります。介助を始める前に、足が床についているか、立ち上がりやすい位置にあるかを確認しましょう。 介助することだけに目を向けるのではなく、本人が自分の力を使いやすい姿勢をつくることが第一歩です。 

※足が前に出ていると、ひざの曲がりが浅くなり、力を入れにくくなります。

「おじぎ」の動きを利用して立ち上がる

 姿勢を整えたら、本人におじぎをするように体を前へ傾けてもらいます。 介助する人は、本人の脇に近い上腕部分を支えます。本人にも介助する人の腕につかまってもらい、前へ体重を移す動きに合わせて、斜め前方へ立ち上がるのを支えます。 ポイントは、真上へ引き上げるのではなく、本人の前傾する動きを生かして介助することです。本人の体を力任せに上方向へ持ち上げようとすると、介助する人自身の腰にも負担がかかります。「立たせる」のではなく、本人が立つ動きを支える。その意識を持つことが大切です。

※介助者が片足を前に出すことで、前後の重心移動を使いやすくなり、少ない力で介助できます。

座るときは、立つときと反対の流れで

 座る動作は、基本的には立ち上がるときと反対の流れで行います。 いすの位置を確認し、ひざの裏をいすに沿わせるようにして、ゆっくりと深く腰を下ろします。座る直前に急に力を抜くのではなく、本人の動きに合わせながら支えましょう。 立つときも座るときも、介助する人がすべての動きを担うのではなく、本人ができる動作を生かしながら必要な部分を補うことが基本です。 

立ちやすさは「いす」でも変わる

 立ち上がりやすさは、介助方法だけでなく、普段使っているいすも重要です。高すぎたり低すぎたりすると、立ち上がるときに力を入れにくくなることがあります。また、座面がやわらかく、体が深く沈み込むいすも、立ち上がりにくさにつながります。

【立ち座りしやすい!いすのチェックポイント】

✓ 背筋を伸ばして座れる

✓ 座ったとき、ひざが約90度に曲がる

✓ 足の裏が床にしっかりつく

本人の身体の状態に合わせて、安定して座れ、立ち上がりやすいいすを選ぶことも大切です。

「何でも手伝う」が介助とは限らない

 家族を介護していると、転倒などを心配して、つい先回りして手を出したくなることがあります。しかし、体を動かす機会が減れば、身体機能を使う機会も少なくなります。 理学療法士が大切にしているのは、本人に「役割を持ってもらうこと」です。 例えば、「新聞を取りに行く」といった日常の小さな役割でも、自分で体を動かすきっかけになります。 

本人が「これならできそう」と思える目標を、家族と一緒に考えることも大切です。 「新聞を取りに行く」など、暮らしの中に小さな役割をつくることが、体を動かすきっかけになります。本人ができることは続けてもらい、難しい部分を支える。そうした関わりが、本人の力を生かす介助につながります。 

訪問看護ではリハビリの専門職が関わることも

 日々の健康管理や医療処置などを看護師が担い、必要に応じて理学療法士が自宅を訪問してリハビリテーションを行っています。本人の身体の状態だけでなく、普段使っているいすやベッド、自宅での動き方など、生活の場を見ながら支援できるのが訪問でのリハビリテーションの特徴の一つです。 看護師と理学療法士など、それぞれの専門職が異なる視点から関わることで、その人の生活に合わせた支援につなげています。 

【理学療法士からひとこと!】

 在宅リハビリでは、身体機能の向上だけでなく、住み慣れた地域で自分らしい生活を続けられるよう支援します。大切なのは、ご本人が持っている力やできることを活かしながら、必要な場面で適切な支援を行うことです。「自分でできた」という経験を積み重ねることで自信や意欲につなげ、自立した生活の継続を目指します。多職種と連携しながら、一人ひとりの生活に寄り添った支援を行っています。 

洛和会ヘルスケアシステム
介護事業部 訪問看護科 

理学療法士 庵 晃人 

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