子どもは、学校や友達との関係、勉強、家庭での出来事など、日々さまざまなことを経験しています。悩みや不安を抱えたとき、それを「つらい」「助けて」と言葉にできる子どもばかりではありません。自分でも気持ちを整理できなかったり、周囲に心配を掛けたくないと思ったりして、一人で抱え込むこともあります。
そのため、子どもの心のSOSは、言葉ではなく、体調や行動の変化として表れることがあります。大人が「いつもと少し違う」と気付くことが、子どもを支える最初の一歩になります。
心の不調があると、頭痛や腹痛を繰り返す、朝起きられない、食欲が無くなるなど、体に変化が現れることがあります。また、学校へ行きたがらない、好きだったことを楽しめなくなる、家族との会話が減るといった行動の変化が見られる場合もあります。
急に口数が減るだけでなく、イライラして怒りっぽくなることも、心の負担が表れている可能性があります。一見すると、怠けている、反抗しているように見えるかもしれません。しかし、その背景には、子ども自身でもうまく説明できない不安やつらさが隠れていることがあります。
ただし、一つの変化が見られたからといって、心の不調だと決め付けることはできません。成長の過程や一時的な疲れによって、気分や行動が変わることもあります。サインの数を数えるのではなく、普段の様子と比べて変化が続いているか、学校生活や家庭での過ごし方に影響が出ているかを丁寧に見守りましょう。
頭痛や腹痛などには、体の病気が隠れている可能性もあります。初めから心の問題と判断せず、症状が続く場合は医療機関に相談することも大切です。
気にしたい子どものサイン
- 頭痛や腹痛、吐き気などを繰り返し訴える
- 寝付きが悪い、夜中に目が覚める、朝起きられない
- 食欲が無くなる
- 疲れやすく、横になっていることが増える
- 体の不調を訴えるものの、原因がはっきりしない
- 学校や習い事に行きたがらなくなる
- 遅刻や欠席が増える
- 勉強や身の回りのことに集中しにくくなる
- 好きだった遊びや趣味に関心を示さなくなる
- 落ち着きがなくなる、または動きが少なくなる
- 物に当たるなど、これまでにない行動が増える
- イライラしたり、怒りっぽくなったりする
- 急に泣く、表情が乏しくなる
- 自分を強く責める
問い詰めず気持ちを受け止める
子どもの変化に気付くと、保護者は原因を早く知りたいと思うかもしれません。しかし、「何があったの?」「どうして話してくれないの?」と繰り返し尋ねると、子どもが責められているように感じることがあります。
まずは、「最近、少し疲れているように見えるけれど、大丈夫?」「話したくなったら聞くよ」と、気に掛けていることを穏やかに伝えましょう。子どもが話し始めたら、すぐに解決策を示すのではなく、「つらかったね」「話してくれてありがとう」と受け止めます。
「気にし過ぎ」「みんなも同じ」「もっと頑張って」といった言葉は、励ますつもりでも、子どもには気持ちを否定されたように聞こえる場合があります。言葉が見つからないときは、無理に助言をせず、そばで話を聞くだけでも構いません。
子どもがすぐに話さなくても、無理に聞き出す必要はありません。一緒に食事をする、散歩をする、好きなことをして過ごすなど、安心してつながれる時間を保ちましょう。「いつでも話してよい」と伝え続けることが、子どもの安心につながります。
家庭だけで抱え込まないで
いつもと違う状態が続いている、学校や日常生活への影響が大きくなっている、家庭だけでは対応が難しいと感じるときは、早めに周囲へ相談しましょう。学校の担任、養護教諭、スクールカウンセラー、かかりつけ医、地域の相談機関など、身近なところから相談できます。
また、「消えたい」「死にたい」などの言葉がある、自分を傷つけた跡が見られるといった場合は、軽く受け流してはいけません。子どもを一人にせず、速やかに医療機関や専門の相談窓口へつなげてください。差し迫った危険がある場合は、119番通報を含む緊急の対応が必要です。
子どもの変化を身近で見守る保護者にも、大きな負担が掛かります。保護者自身も一人で抱え込まず、周囲の人や専門家を頼りましょう。頼れる場所を増やすことは、子どもと保護者の双方を支えることにつながります。
相談窓口
子どもの心や行動、学校生活、友達との関係などについて悩んでいるときは、京都市が案内している相談窓口も利用できます。
子どもや若者、保護者が利用できる相談窓口を、悩みの内容に応じて確認できます。
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こころや身体のケアは保護者にとっても大切なことです。「親だからなんとかしないといけない」という責任感に、家事、仕事などのストレスが加わることで、保護者も疲れてしまうことがあります。保護者自身も体調変化に気を配り、子どもと一緒に心身のケアを心がけるとよいでしょう。
監修
洛和会音羽病院 臨床心理室
中島 陽大