後回しにしてませんか?40代からの健診
真理子さんが健診を後回しにしてしまう理由
- Vol.03
- 2026.08.27
特定健診がどんな健診なのか。自分も対象になること。
血圧や血糖、脂質など、40代から気にしておきたい体の状態を確認できること。
受診券を読みながら、真理子さんは少しずつ理解していきました。
「なるほど。私にも関係あるんだ」そう思ったはずなのに、数日後。
受診券はまだ、ダイニングテーブルの端に置かれたままでした。
予約はしていません。知らなかったわけではない。
必要ないと思ったわけでもない。むしろ、受けた方がいいことは分かっている。
それでも、なぜか一歩が出ない…
今回は、健診を「受けた方がいい」と思いながらも後回しにしてしまう気持ちについて、真理子さんと一緒に考えていきます。
※この記事に登場する人物・エピソードは、取材設計用に構成したモデルケースです。
※制度に関する記述は、公的情報に基づいています。
「予約するだけ」が、なぜか重い
真理子さんは、スマートフォンで健診機関のページを開いてみました。
自宅から行きやすそうな場所。午前中に行けそうな日。買い物のついでに立ち寄れそうな距離。条件だけを見れば、受けられないわけではありません。
それでも、予約の画面を前にすると、手が止まります。
「この日は子どもの予定が入るかもしれない」
「パートのシフトがまだ出ていない」
「母の通院付き添いが入るかもしれない」
「朝から検査に行くとなると、家のことが回らないかも」
頭の中に、いくつもの予定が浮かびます。
家族の予定なら、すぐにカレンダーへ入れられる。
子どもの学校行事や夫の用事、親の通院は忘れないように書き込める。
でも、自分の健診となると、なぜか決められない。
真理子さんは、スマートフォンの画面を閉じました。
「また後で見よう」
その“後で”が、毎年少しずつ積み重なってきたことには、気づかないふりをしました。後回しにする理由は、ちゃんとある。健診を後回しにするのは、健康に関心がないわけではありません。むしろ、分かっているからこそ、少し気が重くなることもあります。
「結果が悪かったらどうしよう」
「検査は痛くないだろうか」
「時間はどれくらいかかるのだろう」
「費用はどれくらい必要なのだろう」
不安は、ひとつではありません。さらに、日常の予定もあります。
仕事、家事、家族の用事、親のこと。
毎日が大きなトラブルなく回っているように見えても、その裏には細かい調整がたくさんあります。その中で、自分の健診を入れることは、簡単なようで簡単ではありません。
「落ち着いたら予約する」
「今月は忙しいから来月にする」
そう思っているうちに、季節が変わっていきます。
後回しにする理由は、怠けているからではありません。
ただ、毎日の生活の中で、自分の健康の優先順位が少しずつ下がってしまうのです。
“元気だから大丈夫”と思っていませんか?
真理子さんには、大きな不調があるわけではありません。
仕事にも行けている。家のことも、なんとか回せている。
だから、つい思ってしまいます。
「まあ、大丈夫かな」
けれど特定健診は、具合が悪くなってから受けるものではありません。
血圧、血糖、脂質などは、自覚症状がないまま変化していることもあります。
普段通りに生活できていても、体の中では少しずつ負担がかかっているかもしれません。
40代は、体調や体型の変化を感じ始める一方で、まだ「病院に行くほどではない」と思いやすい年代です。
疲れやすい、体重が戻りにくい、眠りが浅い、以前より階段で息が上がる。
なんとなく不調だけれど、理由が分からない。
そうした変化を、全て「年齢のせい」で片づけてしまう前に、自分の体の状態を確認する機会が健診です。
健診は、「悪いところを探す時間」ではなく、今の自分を知るための時間です。
自分の予定を入れることに、遠慮してしまう…。
真理子さんが一番引っかかっていたのは、検査そのものではありませんでした。
自分のために、予定を空けること。それが、少し大げさに感じられたのです。
家族のためなら、予定を調整できる。
子どものためなら、早めに準備できる。
親のためなら、少し無理をしてでも時間を作れる。
でも、自分の健診となると、急にこう思ってしまいます。
「わざわざ休みを取るほどかな」
「家のことを後回しにしてまで行くことかな」
「今すぐ困っているわけじゃないし」
真理子さんは、家族を大切にしてきました。それは悪いことではありません。
ただ、家族を大切にすることと、自分を後回しにし続けることは、同じではありません。自分の体に時間を使うことは、これからも家族と暮らし、自分らしく過ごしていくために必要なことなのです。
そう考えると、健診は「余裕があったら入れる予定」ではなく、「先に確保してよい予定」なのかもしれません。
予約の前にできる、小さな一歩
健診を受けようと思っても、いきなり予約まで進むのは少し重い。
そんなときは、予約の前にできることから始めてもかまいません。
例えば、届いている案内をもう一度開く。
受診券の有効期限を確認する。
受けられる医療機関を2、3カ所見てみる。
候補日をカレンダーに丸で囲む。
家族に「このあたりで健診に行きたい」と伝える。
その小さな一歩も、後回しから抜け出すための大切な準備です。
真理子さんも、まずはカレンダーを開きました。すぐに予約はしませんでしたが、
来月の平日に、候補日を二つ書き込みました。
それだけでも、健診は少しだけ現実の予定に近づきました。
帰りに好きなお店へ寄る。健診のあとに一人でお茶をする。友人と同じ時期に受ける約束をする。美容や健康について知れるイベントに合わせて受けてみる。
「ちゃんとしなきゃ」と自分を追い込むより、「これを機に、自分の体を見直してみよう」と思える方が、行動につながることもあります。
真理子さんは、健診に行く日のことを少し想像しました。
朝の家事を少し前倒しする。健診が終わったら、近くでコーヒーを飲む。その日は、少しだけ自分のための時間にする。
そう考えると、健診は面倒な予定ではなくなっていきました。
大切なのは、いきなり完璧に行動することではありません
まずは受診券を見直す。候補日を考える。家族に予定を共有する。
そのくらいの一歩からでも、健診は少しずつ近づいてきます。
自分の体に時間を使うことは、わがままではありません。
これからの暮らしを守るための、必要な予定です。
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