人に聞きづらいおしっこの悩み
尿の勢いが弱くなった?日常に潜む前立腺肥大症
- Vol.04
- 2026.07.15
「最近、尿の勢いが弱くなった」
「トイレに行っても、すっきり出きらない」
「夜中に何度もトイレに起きる」
年齢を重ねると、こうした排尿の悩みを感じる男性は少なくありません。
その背景にある病気の一つが、前立腺肥大症です。
目次
- 前立腺肥大症とは
- 主な症状
- 検査方法
- 治療方法
- 早めに受診しましょう
前立腺肥大症とは
前立腺は、男性にだけある臓器です。膀胱の出口付近にあり、尿道を取り囲むような位置にあります。
前立腺肥大症は、この前立腺が大きくなり、尿道を圧迫することでさまざまな排尿トラブルを引き起こす病気です。加齢とともになりやすくなる傾向があり、80歳では80~90%の方が前立腺肥大症になるといわれています。
こんな症状はありませんか?
前立腺肥大症でみられる症状は、大きく3つに分けられます。
1.尿が出にくい
尿の勢いが弱い、尿が出始めるまでに時間がかかる、排尿の途中で尿が途切れる、お腹に力を入れないと尿が出ない
2.頻尿
昼間に何度もトイレへ行く、夜中にトイレで起きる、急に強い尿意が起こって我慢しづらい、トイレまで間に合わない
3.残尿感がある
尿を出した後も残っている感じがする、下着をつけた後に尿が少し漏れる
「前よりトイレが近くなった」「外出時にトイレの場所が気になるようになった」と感じたら、体からのサインかもしれません。
前立腺肥大症は、軽い症状であれば経過観察となることもあります。しかし、症状が進むと、尿が出せなくなる尿閉や、血尿、尿路感染、膀胱結石、腎機能障害などの合併症を引き起こすことがあります。
また、排尿の異常は前立腺肥大症だけで起こるものではありません。前立腺がん、尿道の病気、膀胱の病気、神経の病気などが関係している場合もあります。症状だけで前立腺肥大症だと自己判断するのは避けましょう。
検査方法
症状の内容や困り具合を確認したうえで、尿検査、尿の勢いを調べる尿流検査、排尿後の膀胱内の尿の量を調べる残尿測定、前立腺の大きさをみる超音波検査などが行われます。また、前立腺がんとの区別のために、血清PSA(前立腺特異抗原)測定をすることがあります。
治療方法
前立腺肥大症の治療は、症状の強さや前立腺の大きさ、合併症の有無などによって変わります。
また、どの治療が適しているかは、症状や体の状態によって異なります。
薬物治療
多くの場合、薬物治療が検討されます。薬で十分な改善が得られない場合や、尿閉、血尿、尿路感染、膀胱結石、腎機能障害などを繰り返す場合には、手術が検討されることもあります。
前立腺や尿道まわりの筋肉の緊張をゆるめて尿を通りやすくするα1遮断薬、前立腺や膀胱まわりの筋肉の緊張を緩め、尿を排出しやすくするホスホジエステラーゼ5阻害薬、肥大した前立腺を小さくする5α還元酵素阻害薬などを症状に合わせて処方します。その他漢方薬など処方されることがあります。
手術療法
薬で十分な改善が得られない場合や、尿閉、血尿、尿路感染、膀胱結石、腎機能障害などを繰り返す場合は手術を行います。
尿道から内視鏡を挿入し、電流を流し肥大した前立腺を尿道側から切除する経尿道的前立腺切除術、尿道から内視鏡を挿入し、レーザー照射し肥大した前立腺をくり抜くホルミウムレーザー前立腺核出術など、主に内視鏡を用いて手術を行います。
「恥ずかしい」より「早めに相談」を
前立腺肥大症を完全に予防する方法は、現時点でははっきりしていません。ただし、症状を悪化させないために、アルコールやカフェインの取りすぎを控える、寝る前に水分を取りすぎない、下半身を冷やさない、長時間座りっぱなしを避ける、便秘を防ぐ、適度に体を動かすなど、生活習慣を見直しましょう。
排尿の悩みは、人に相談しにくいものです。けれど、前立腺肥大症は中高年男性に多い身近な病気です。
夜中のトイレが増えた、尿の勢いが弱い、残尿感がある。そんな変化が続くときは、「年齢のせい」と片づけず、お近くの泌尿器科に相談してみましょう。
早めに原因を確認することで、日常生活の不安を減らし、自分に合った対処法を見つけることにつながります。
参考
恩賜財団法人済生会
https://www.saiseikai.or.jp/medical/disease/prostate_enlargement/
名古屋大学大学院医学系研究科 泌尿器科
https://urology-nagoya-u.jp/treatment/disease/bph.php
日経メディカル
https://medical.nikkeibp.co.jp/inc/all/drugdic/article/556e7e5c83815011bdcf8357.html
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