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防災グッズだけではない、知識で備える災害対策

2026.09.01

5月に開催した「看護の日」イベントでは、避難生活の不便をできる限り減らし、災害関連死のリスクを抑えるための具体的な対策を、看護の視点から地域の皆さんへ紹介しました。9月9日の「救急の日」に合わせ、この取り組みを振り返りながら、「なぜこれらの備えが必要なのか」を改めて考えます。

1. 非常食:無理なく続ける「ローリングストック」

まずは食料と水の確保。長期保存ができる非常食を買っておくほか、「ローリングストック」という備蓄法があります。

⯁ 長期保存食

電気やガスが止まってもそのまま、あるいは水を注ぐだけで食べられるものが多く、商品によっては3~5年程度保存できるものもあり、備蓄品を頻繁に入れ替える負担を減らせます。ただし、定期的に賞味期限や保管状態を確認しましょう。

⯁ ローリングストック

食べ慣れた食品などを多めに買っておき、賞味期限の近いものから消費してまた買い足す方法です。スーパーやコンビニで手軽に入手でき、普段の食事に無理なく取り入れられるレトルト食品や缶詰、カップ麺、ペットボトルの水などが適しています。最低3日分、できれば1週間分の備蓄が基本といわれています。家庭の状況に合わせて、無理のない範囲で始めましょう。
今回のイベントでは、ローリングストックのコツをお話し、長期保存ができお湯や水を注ぐだけで食べられる非常食(アルファ米)の五目御飯や梅がゆを食べ比べていただきました。ぜひ、生活スタイルにあった備蓄方法を取り入れてください。

食べながら備える!ローリングストックおすすめ食品

ご飯・主食

  • アルファ米
  • パックご飯
  • カップ麺
  • 乾麺
    (うどん、そうめん、パスタ)
  • シリアル
  • オートミール

タンパク質

  • ツナ缶、サバ缶
  • 焼き鳥缶
  • レトルトカレー
  • 大豆製品
  • 常温保存できる豆乳

すぐ食べられるもの

  • レトルトおかゆ
  • 野菜ジュース
  • ゼリー飲料
  • チョコレート
  • ビスケット
  • 栄養補助食品
2. 簡易トイレ:排泄を我慢しないための備え

食料や水の準備と同様にトイレの備えがとても重要である、という事実はご存じでしょうか。 災害後6時間以内に約7割の人がトイレに行きたくなったという調査があります。<平成28年熊本地震『避難生活におけるトイレに関するアンケート
しかし、避難所に仮設トイレが設置されるまでには数日もかかるうえ、不潔になりやすいため「使いたくない」と言う声も多いそう。 トイレに行きたくないために水分摂取を控えた結果、感染症や脱水症状を起こすと命にかかわる場合があります。
そこで、イベントでは看護師が段ボールで作ったトイレを設置。実際にどのような構造なのか、見て・座って体験していただきました。 凝固剤としてペットシーツやおむつ、猫砂を活用すると廃棄も簡単で衛生的に使用できます。作り方はこちらの資料を参考にしてください。
※災害によって排水管が破損していることもあるため安全が確認できるまで溜め水で無理に流すことは絶対にNGです!
<参考>災害時のトイレ、どうする?(国土交通省)

3. 簡易ベッド:避難所での健康被害を防ぐ

 

次に、避難所の床に直接寝ることのデメリットについて考えましょう。
床付近のほこりを吸い込みやすくなったり、冬場は冷たい床で体温が奪われたりすることで体が冷え、十分に休息できない可能性があります。
また、血行が悪くなり血栓ができるエコノミークラス症候群は基礎疾患がある方には特に注意が必要。
段ボールベッドなどを活用して床から離れて休むことは、こうした負担を軽減する方法の一つです。
構造を工夫することで体重をしっかり支える十分な安定性があり、高齢者の場合は床からの立ち上がりがスムーズになって足腰への負担を減らせるメリットもあります。
たくさんの段ボールを組み立てる必要がありますが、実際の避難所では被災者同士が協力し合ってそれぞれのベッドを組み立てるといった助け合いも生まれるそうです。
イベントで、毛布を敷いただけの段ボールベッドを体験していただいたところ「意外と寝心地がいい」「これなら眠れそう」といった声が聞かれました。

段ボールベッドの詳しい作り方は、サクラパックス株式会社のWebサイトで紹介されています。
参考:段ボールベッドの作り方|段ボールでまもろう

4. 災害用伝言ダイヤル(171):30秒で伝える「あいたいよ」

災害用伝言ダイヤル「171」は、災害発生時に家族や知人などの安否を確認する”声の伝言板”。ですが、その存在や番号は知っていてもどのように使うかまでは知らないという方が多いのではないでしょうか。
イベント当日は、災害用伝言ダイヤル体験利用日(毎月1・15日)。看護師がサポートする中、実際に電話をかけてメッセージを録音する体験をしていただきました。

録音時間は1件につき30秒以内と短いため必要な情報をこのようなメモにあらかじめまとめておくとスムーズです。

あ: あなたの名前(フルネーム)
い: いまいる場所
た: だれといっしょか
い: いたいところはあるか(体調)
よ: よこく(次の連絡予定など)
災害伝言サービスは携帯電話各社からも提供されていますのでご自身や家族の利用状況を確認し、共有しておくと安心です。

携帯電話各社・提供元 災害用伝言サービス一覧

キャリア・提供元 サービス名 情報・解説ページ / アクセス先
NTTドコモ 災害用伝言板 NTTドコモ 災害用伝言板サービス案内
au(KDDI) 災害用伝言板 au 災害用伝言板サービス案内
ソフトバンク 災害用伝言板 ソフトバンク 災害用伝言板サービス案内
ワイモバイル 災害用伝言板 ワイモバイル 災害用伝言板サービス案内
楽天モバイル 災害用伝言板 楽天モバイル 災害用伝言板サービス案内
NTT東日本 / NTT西日本 災害用伝言板(web171)
災害用伝言ダイヤル(171)
NTT東日本 災害用伝言サービス(web171 / 171)

※大規模災害の発生時に各社の公式サイト等からもアクセス可能になります。キャリア間や「web171」との間で相互に安否情報の検索・連携が行えます。

またSNSで安否報告や確認ができるサービスもあるのでご確認をおすすめします。

5. 母性・育児:避難所での特別な配慮

 

妊婦さんや育児中のママに向けて、災害時でもそのまま飲める紙パックミルクの試供品を配布し、避難時に必要な物品のレクチャーを行いました。また、避難所では、混乱に乗じた性暴力やDVなどが発生するおそれもあります。女性や子どもだけの問題とせず、明るく見通しのよい場所にトイレや更衣スペースを設ける、防犯ブザーや相談窓口を周知するなど、避難所全体で安全を守る環境づくりが重要です。

まとめ

1. 非常食 (命をつなぐ食事と水を確保するため)
・長期保存食の常備や、日常的に消費しながら買い足す「ローリングストック」の実践
・最低3日分(できれば1週間分)の蓄え

2. 簡易トイレ (排泄を我慢せず、健康を守るため)
・我慢せずに使える簡易トイレ(段ボールトイレ)の備え
・ポリ袋を被せ、ペットシーツや猫砂を活用して衛生的に処理

3. 簡易ベッド (避難生活で体への負担を減らすため)
・段ボールベッドなどの活用で、冷気・硬さ・ほこりを遮断
・立ち上がり動作が楽になり、高齢者の足腰の負担を軽減できる

4. 災害用伝言ダイヤル (大切な人の安否を確かめるため)
・合言葉「あいたいよ」で伝える情報を事前に整理しておく
:あなたの名前、:いま居る場所、:だれと一緒か、:痛いところはあるか、:予告/次の連絡はいつか)・毎月1日・15日などの体験利用日に、実際に操作して使い方を確認しておく
・自分や家族が利用している携帯電話会社の災害用伝言板を確認しておく

5. 母性・乳幼児ケア (必要なケアと安全を守るため)
・常温でそのまま飲める紙パックミルクなどの備蓄と、必要物品の把握
・避難所での性被害対策(周囲との支え合い、一人で行動しないなど)
自分の地域の災害リスクを確認しよう

住んでいる地域によって、洪水・土砂災害・地震など注意すべき災害が異なります。京都市では、避難情報の発令や避難所運営などが、おおむね「学区」を単位に行われます。自分が住んでいる学区と、最寄りの避難所までの経路を平常時に確認しておきましょう。

京都市の「Web版ハザードマップ」では、洪水や内水氾濫、土砂災害、地震の被害想定のほか、避難所の位置などを確認できます。自宅だけでなく、勤務先や子どもの学校周辺についても確認しておくと安心です。

京都市Web版ハザードマップ

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