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病院×パン屋でフードロス削減。医師の時間外勤務を支える“やさしい循環”とは

2026.04.28

パン屋と病院が連携し、フードロス削減と医療従事者へのねぎらいを両立する取り組みが始まっている。

取り組みを行っているのは、洛和会音羽病院。
きっかけは、洛和会ヘルスケアシステムの理事長と地域のパン屋との何気ない会話だった。

理事長が通う、御陵のパン屋「ブーランジェ パン・ド・ミー」

京都市山科区御陵に店を構える「ブーランジェ パン・ド・ミー」。
「10年後の健康のために、安全・安心な素材を使った、体に優しいパン作り」を掲げる同店は、地元で長く親しまれている存在だ。

実はこの店には、洛和会の公式キャラクター「らくの助」のグッズが置かれている。
背景にあるのは、洛和会ヘルスケアシステム 理事長 矢野裕典氏が日頃から通う“行きつけ”の店という関係性だ。

そんな関係性の中で、売れ残ったパンが廃棄されてしまう現状が話題にのぼった。
日持ちがしないためやむを得ないとはいえ、「もったいない」という思いがあったという。

この話を受け、矢野理事長が提案したのが今回の取り組みだった。

“廃棄予定のパン”を価値に変える仕組み

仕組みはシンプルだ。

余りそうなパンをパン・ド・ミーが病院へ届け、洛和会音羽病院がすべて買い取る。

フードロスを減らしながら、そのパンを夜勤や時間外勤務の医師に向けて提供している。
廃棄されるはずだった食品が、医療現場を支えるエネルギーへと変わる。

導入にあたっては、病院長や副病院長による試食会も実施。
実際に味を確かめたうえで、「おいしい。医師にも喜ばれると思う」と導入が決まった。

忙しい現場を支える“ちょっとした余裕”

取り組みは現在、毎週水曜日の夜に実施されている。

18時半ごろ、医局に設置されたカゴにパンが並び、夜勤や時間外勤務の合間に、医師が自由に手に取るスタイルだ。
惣菜パンから甘いパン、サンドウィッチまで、種類はさまざま。

現場からは、「コンビニに行かなくてもいいので助かる」「理事長がちゃんと見てくれていると感じてうれしい」といった声があがっている。
忙しい医療現場において、ほんの少しの“余裕”や“気遣い”が、働く人の安心感につながっている。

フードロス対策を“人のため”に生かす

フードロス削減の取り組みは各地で進んでいるが、この事例の特長は「人への価値提供」と結びついている点にある。

単なる廃棄削減ではなく、
地域の事業者と医療機関が連携し、双方にメリットを生み出す仕組みになっている。

  • パン屋:廃棄ロスの削減
  • 病院:医師への福利厚生・モチベーション向上
  • 地域:フードロスの削減・食品資源の地域内循環

小さな取り組みながら、持続可能な地域連携の一つの形と言えるだろう。

人と人とのつながりが生んだ、小さな循環

人と人とのつながりから生まれたこの取り組みは、フードロス削減という社会課題に対する一つの解決策であると同時に、現場で働く人へのささやかな支えにもなっている。

医局に並ぶパンと、「時間外も頑張る先生方へ」というメッセージ。
その光景は、日々忙しく働く医師にとって、小さな安心や余裕をもたらしている。

こうした取り組みが、地域と医療をつなぐ新たなかたちとして、今後どのように広がっていくのか注目される。

店舗情報

ブーランジェ パン・ド・ミー (Boulanger Pain de mie)

住所:京都府京都市山科区御陵原西町12-3 グレースコンフォート1F
営業時間:8:30~18:00
定休日:日・月曜日
食べログ:https://tabelog.com/kyoto/A2601/A260603/26021565/

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